62号 「論語と算盤」

完全版はこちら → 新第62号 27年4月号

江戸時代の「士農工商」は皆さんご存知ですよね・・。

武士が偉く、商人が一番身分の低い者という事でしょうか・・。

実際、「武士道」と言う言葉はありますが「商業道」という言葉はありません。

しかも「商業道徳」と言うように商人にはわざわざ道徳が必要だと言われる程です。

つまり商人は油断ならない存在と言う事でしょう。

しかし現代社会において、商人(実業家)を身分の低い者と言う人はいません。

昔の「士」に相当する政治家や役人は、「商」のために公共工事や補助金などを用いた雇用拡大政策や景気対策を行います。

今の時代、従業員を雇用し、納税を行う商人(実業家)は立派な存在なのです。

しかしながら、明治の偉大な経営者、渋沢栄一氏は商人にも武士道のように「実業道」が必要だと説いています。

儲ける事は決して悪い事ではありません。

しかし、その儲け方に道理があるのかどうかが重要なのです。

先ほど紹介した「イチゴ大福事件」(注 事務所通信4月号をご覧ください)のAさんがまさに悪い例です。

それに加えて、明治の実業家で富国強兵政策のおかげで成功を収めたはずの渋沢氏ですが「政府の力に頼らないでやるという気力を持たなければ駄目だ」と後進の経営者に説いています。

道理をわきまえ、国の政策に左右されない会社運営は渋沢氏が活躍した100年前も同じなのです。

いつも繰り返しますが渋沢氏の持論である「論語(道理)と算盤(経営)」は両立します。

目先の利益ではなく、社員のため、社会のため、国家のためという大きな視点が大切なのでしょう。