102号 「予測不能」

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「自然現象」

いよいよ北海道にも暑い夏!・・と思っていましたが・・7月30日の北海道は上空の強い暖気やフェーン現象などの影響で手稲(山口)では33.8℃を記録しました。

それでも埼玉県熊谷市の41.1℃(23日歴代最高)と比べるとまだ序の口ですね。

もう忘れてしまったかもしれませんが・・6月17日時点の札幌は9日連続で最高気温が20度未満と肌寒い日が続き50年ぶりの記録更新寸前(連続10日)でした。涼しい夏と思っていたのに耐えがたい暑さで気温に関しては予測不能の状況です。

7月初めの西日本豪雨では多くの家が流される映像や被害の大きさ、被災者数に衝撃を覚えました。また、台風も予測不能のようです。気象庁はかつてないコースをたどる台風12号について緊急会見を開き「これまでの経験が通用しない場合があります」と発表しました。

もしかすると記録的な豪雨、気温、台風で気が早いですが今年の流行語大賞は「かつてない(予測不能)」が上がっているかも知れませんね・・。

環境は常に変わる

自然現象に限らず商売には予測可能な事と予測不能な事があります。小樽は両者の要素が混在する面白い町です。

小樽にとって「予測可能」な事は人口減です。市と小樽商科大学の共同研究によると「小樽市の人口は昭和39年9月の207,093人がピークで直近の平成29年4月末では120,023人まで減少しています。毎年2千人程度の減少で推移」しているようです。これは内部環境の影響と言えますが今後も人口減は間違いないでしょう。

一方、観光客はもの凄い勢いで増加しています。平成29年度の観光客数は、対前年度比101.9%の806万1,600人となり、14年ぶりに800万人を超えました。アジア圏を中心に外国人観光客が好調で宿泊客数も、対前年度比で102.9%の75万7,500人となり6年連続の増加です。新千歳空港と結ぶ国際定期便の増便や近隣諸国の経済成長に伴う外部環境が良い方向に作用しています。数年前までの閑散とした時期を知っている私にとっては「予測不可能」な出来事でした。

最近、小樽に行っていない人は小樽駅や運河周辺を散策して下さい。観光客、それも外国人の多さに驚かされます。これらの事から「観光関連」が有望で「小樽市民向けの商売が厳しい」のは予測可能です。このように環境は常に変わります。経営者の先を読む力が重要です。

新しい事にチャレンジ

事業をする場合「予測可能が 〇」、「予測不可能が ×」というわけではありません。実は事業を飛躍的に拡大させる可能性があるのは「予測不可能」へのチャレンジです。

私の知っているある企業は小樽の観光客が減少していた時期に運河の魅力を引き出す新たな観光事業を開始しました。まだ外国人観光客が珍しかった頃で、まさに「不可能」へのチャレンジでした。しかし、今では観光の名所としてテレビや雑誌に取り上げられるほど事業が成功しています。

多くの人が「これからはこれが良い」と考える予測可能な事業へのチャレンジは競争が激化します。たとえば数年前の介護事業バブルが教訓として残り、今では多くの企業が市場から撤退しているのは皆さんもご存知だと思います。

一方、予測不可能な事業へチャレンジする人は稀です。だからこそ成功した時の喜びは大きいと思います。当然、失敗するリスクも高くなり回りからは無謀と言われるかも知れません。

事業を成功させるためにどの道を進むのかは経営者にとっては力の見せ所です。ただ芳しくない未来の予測可能な点については改善が必要です。自分の力量の範囲内で新たな事にチャレンジする気持ちは大切です。

しっかり前をみて新しい情報にアンテナを張りましょう。行動するのは今です!