85号 「繁忙期のわな」

当事務所では事務所通信「税務版」と「かわら版」をご希望の方には無償で提供しております。興味をお持ちの方はこちら(問い合わせフォーム)よりお気軽にお申し込みください。

なお、「かわら版」につきましては毎月公開しておりますので下記よりPDFでご覧いただけます。

【今月の事務所通信】

  「SOS」

NHKなどの報道によると、ヤマト運輸の労働組合は「今の人員体制では急増する宅配便に対応するのは難しい」として、「宅配便の引き受けを抑えるよう」会社に要求しました。

業界2位の佐川急便が利幅の薄い荷物を引き受けなくなった事やネット通販の拡大により荷物が増加し続け疲弊しているドライバーのSOSです。

つい先日も、仕事を選んでいるはずの佐川急便のドライバーが荷物を叩き付けている動画がネットやテレビで話題となりました。居留守による再配達や時間指定など過剰なサービスの導入により労働環境が悪化でドライバーのストレスが爆発、自制がきかなくなったのかも知れません・・。

私たちにはとては便利な世の中となりましたがネット通販の拡大などで宅配便の量はどれだけ増えたのかを調べて見ました。国土交通省の資料によると、2015年度の宅配便の個数は37億4500万個で10年前(28億7400万個)より10億個近く増え、20年前からみると約2.8倍になっています。

便利な世の中になったという実感の裏側では誰かが支えているという現実があります。宅配便がなくなったら本当に困ります。せめて・・配達してくれるドラーバーを笑顔で迎えたいと思います・・。

 

 

確定申告時期到来

皆さんもご存じの通り、3月15日は確定申告の期限で、この季節は私たち税理士業界にとっては3月決算(5月申告)と並ぶ超繁忙期です。

当事務所にも飛び込みのお客様などから確定申告の依頼が来ますが・・ほとんどの場合、お断り(注)せざるを得ません。その理由は、2月16日~3月15日の1ケ月の短い期間ではこなせる仕事量に限りがあるからです。

(注)信頼できる紹介者がいる場合のみお受けしております。

 

業務多忙の弊害

この様にある時期に仕事が集中する現象は宅配業界や税理士業界に限らず、年末のお蕎麦屋さん、クリスマスのケーキ屋さん、忘年会や新年会シーズンの飲食店等にとっては、いわゆる「書き入れ時」と呼ばれるものです。嬉しい悲鳴の場合もあり・・嫌な時期が来たと思う人もいるでしょう。

いずれにしても、このような場面は本当の実力が試される場です。たとえば、宴会シーズンなどの週末に飲食店の料理の内容や配膳の遅滞により残念な思いをした方も多いのではないでしょうか?
その場合、「二度と行かない~(怒)」とか「あの店はダメだ~!」とか周りに吹聴され・・結局はお客様を逃がしてしまうという本末転倒な結果が生じます。

 

「小泉元首相」が絶賛の会社

小樽に「ふうどりーむず」という会社がありました。独自の冷凍技術で「冷凍すし」を開発、小泉純一郎元首相も視察・試食に訪れるほど注目を浴びたベンチャー企業でした。

順調に業績を伸ばし、カニやウニなど道内産の海産物を盛り込んだおせちの販売も始め初年度は3500セットを完売、自信を深め翌年にはテレビコマーシャルを流したところ、毎日1000件以上の注文が殺到、マスコミに「注文を打ち切った」との記事が載るまでに予定の1.5倍、1万5000セットもの注文を受けてしまいました。

 

受注過大が致命傷となる

莫大な受注を抱え、社長以下、社員・パートなどのスタッフは不眠不休の作業を行いましたが大雪の影響で材料が届かないなどのトラブルも重なり3000セット分が納期までに完成せず放置する結果となりました。
出来ない仕事を受注したのは無責任だとの非難が殺到し、小泉元首相絶賛の「ふうどりーむず」は信用を失い倒産しました。

会社はたった一つの失敗で消えなくなります。「身の丈を知る」ということの大切さをこの出来事で感じます。過信には注意が必要です・・。