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72号 「異業種参入と格安」を考える

日付: 2016年02月01日  カテゴリー: 事務所通信

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「悲しいニュース」

2016年1月15日、長野県軽井沢の入山峠付近でスキーツアー客を乗せた大型観光バスが道路脇に転落、乗員・乗客41人中15人が死亡するという悲惨な事故が起こりました。
スキーツアーは1泊3日や2泊4日で1.3〜2万円弱の格安料金という事もありセンター試験に伴う大学の休講を利用した首都圏の大学生32名が参加していました。
スキーバスに関しては30年前(1985年1月28日)にも、北志賀高原の竜王スキー場へ向かっていた日本福祉大学の学生(学生22名、教員1名、運転手ら2名が死亡)が犠牲となる事故が起こっており、同年代の子供を持つ親として若者たちの死亡事故は本当に悲しい出来事です。
今回のバス事故をビジネスの観点から検証したいと思います。キーワードは「異業種」と「格安」ではないでしょうか?

「異業種」への参入

企業は常に新しいチャレンジが必要でその一つの方法として新たな分野への参入があります。軽井沢で事故を起こした「イーエスピー」は警備業が本業です。2年前にバス事業に参入し事故当時バス7台を所有していました。
事故車は中古で購入されバスの平均車齢(11年)を上回る13年経過したものでした。運転していたのは65歳のドラーバーと見られ契約社員として雇用されたばかりでこの日4回目の乗車でした。この運転手は大型バスの運転は不慣れなうえ、研修や健康診断も適正に受けさせていないなど数々の問題がニュースで明らかになっています。
バス会社としての経験やノウハウの不足、設備や人件費削減のため経年車や高齢ドライバーの採用など法令順守意識の低さは安全をおびやかすものです。
企業は常に新たなチャレンジが必要ですが準備不足なのに安易に新規事業に参入する事は危険です。

「格安」にはわけがある

バス会社として新規参入組の「イーエスピー」はライバルとの競争のため基準価格(27万円)を下回る19万円と定価の3割引で受注していた事がわかりました。
旅行会社は格安ツアーにするために安いバス会社を探し、バス会社は格安受注するために車両や人のコストを下げ、学生は少ない小遣いを有効活用するために格安ツアーに参加・・。そう考えると「格安」が今回の事故の一因はといえるでしょう。
2012年4月にもディズニーランドへ向かうバス事故で7名が死亡したニュースを覚えている方もおられるでしょう・・このバスは正規料金の半額以下の格安料金で運行されていました。その後、業界で運転手に対する健康管理や長期勤務の抑制などの管理体制が強化されましたが相変わらずのずさんな体質が明らかになりました。
軽井沢バス事故と同時期にニュースとなったCoCo壱番を発端とする廃棄品流通騒動も弁当店やスーパーなどに流通し「わけあり」として売られていたのでしょう。「格安」、「わけあり」にはそれなりの理由があるという事です。

「低価格戦略」

事務所通信では「低価格戦略」を中小企業はするべきではないと繰り返しお話ししています。しかし、低価格のためのコストカットではなく「合理化」の結果としての低価格には賛成です。たとえば、LCCや文房具・家電等の通販・宅配システムは徹底的な合理化で低価格を実現しています。
「低価格を実現するためのコストカット」と「コスト削減の仕組みの結果としての低価格」は一見すると同じですが本質が異なります。
企業にとってはコストを下げる努力は必要ですし・・競争の結果、価格が下げなければならない事もあるでしょう・・ただし。儲けたいといった不純な動機でのコストカットは良い結果を生まない事を今回のバス事故は証明しています。