トヨタ生産方式:1 「3年でアメリカに追いつけ」

当時のトヨタ自工の豊田喜一郎氏が社員に「3年でアメリカに追いつけ。そうでないと日本の自動車産業は成り立たんぞ」と語ったのは、敗戦日である、昭和20年8月15日です。混迷を深める今こそ、トヨタを研究する事で日本経済再生のヒントが生まれるかもしれません。

数年かけて「カイゼン」や「トヨタ生産方式」で世界一の自動車メーカーとなったトヨタ自動車の秘密を研究したいと思います。中小企業の経営に役立つヒントをご紹介出来れば幸いです(札幌の税理士:佐藤寿志)。

1978年に「トヨタ生産方式 -脱規模の経営を目指して-」いう本が発行されました。著者は元トヨタ自動車副社長で「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一氏です。数々のトヨタ本が世に出回っていますが、トヨタ研究をするうえでの原典と言える本です。

初版の発売から35年程たった現在もアマゾンの経営管理の部門でベスト1 http://www.amazon.co.jp/gp/bestsellers/books/551260/ref=pd_zg_hrsr_b_2_5_last となっています。この本から「トヨタ生産方式」を中小企業の経営や業務改善に役立つヒントを導き出せればと思っています。また、事務所通信でも先月、トヨタ生産方式について取り上げていますので参考にご覧ください。https://www.satou-zeirishi.net/archives/3054

トヨタ生産方式の基本思想は「徹底的なムダの排除」です。そして、それを支えるのが「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の2本の柱です。

「ジャスト・イン・タイム」とは、必要なものを、必要なときに、必要なだけ供給」るという仕組みです。しかし、現実にこれを実現する事は困難です。なぜなら、経済活動は自社だけで成り立っていないからです。

商品の販売を考えて見たら分かります。物を仕入、店頭に陳列し、お客さんを待つ。お客さんが商品を買っていったので、仕入先に電話して商品が届くのは翌日。しかし、違うお客さんがその商品を買いに来たが、明日入荷しますと答えると、「違う店に行くから良いよ」と言われる。いわゆる「機会ロス」と言われる状態です。そこで通常は、商品を1ではなく2つ以上在庫し、お客様が買い物に来た時に備えます。

トヨタでは、ムダの代表的なものとして「1.作り過ぎのムダ  2.“手待ち”のムダ 3.運搬のムダ  4.加工のムダ 5.在庫のムダ   6.動作のムダ 7.不良をつくるムダ」を上げています。

機会ロスを避けるために過剰在庫を置くことは、トヨタでは許されないのです。

セブンイレブンに買い物行ったら、商品を納入している場面によく遭遇します。それは、頻繁に商品が納入されているからです。セブンイレブンによるとhttp://www.sej.co.jp/company/aboutsej/distribution.html 毎日9回も商品を各店舗に配送しているようです。

トヨタ同様、セブンイレブンもジャスト・イン・タイムで商品が納入されています。

必要なものを、必要なときに、必要なだけ供給される「ジャスト・イン・タイム」を目指す。出来るか、出来ないか、それを考えるのが経営者の仕事です。無理だと思ったら何も先には進みません。第1回の研究成果は「ジャスト・イン・タイム」が出来る仕組み作りを「考える・・」、ではなく。その方法を「必ず見つける」という強い意志を持つことです。

第2回は「自働化」について研究したいと思います。